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Durable Streams: Sync Done Right, with Kyle Matthews from Electric SQL

再生時間

20分 48秒

Electric SQL Durable Streams徹底解説:AI時代のデータ同期とリアルタイム連携の新常識

ポイント

  • AI時代のリアルタイムデータ同期に悩む開発者へ、Electric SQLのDurable Streamsは革新的な解決策を提示します。
  • 本技術はPostgreSQLネイティブの信頼性を基盤とし、AIチャットなどでのデータ一貫性問題や脆弱なストリーミングを根本から解決します。
  • 将来はPostgreSQL以外の多様なデータソースやAIトークンストリーミングにも対応し、スケーラブルなクラウドサービスで開発を加速させるでしょう。

導入:データ同期の未来を切り拓くDurable Streams

近年、リアルタイムでのデータ同期は、Webアプリケーション開発において不可欠な要素となっています。特にAIの進化により、ユーザー体験の質を高めるためには、データの整合性と即時性がこれまで以上に求められるようになりました。本記事では、Gatsbyの共同創設者としても知られるKyle Matthews氏が現在Chief Product Officer(CPO)を務めるElectric SQLが開発した革新的なデータ同期基盤「Durable Streams」に焦点を当て、その機能、利点、そしてAI時代における重要性について深掘りしていきます。

Kyle氏は、Gatsby以前にもDrupalやWordPressのホスティングを手がけるPantheonで活躍し、その後はReactとGatsbyを組み合わせたスタックジェネレーターの開発に尽力し、最終的にNetlifyへの事業売却を経験されています。現在は、共同創設者としてElectric SQLのチームを牽引しており、その知見と経験がDurable Streamsの開発に大きく寄与しています。

Electric SQLとPostgreSQLネイティブ同期エンジンの概要

Electric SQLは、PostgreSQLに特化したネイティブな同期エンジンを提供しています。このエンジンは、PostgreSQLデータベースに接続するだけで、選択したデータサブセットからリアルタイムのライブフィードをクライアントに提供します。

主な特徴は以下の通りです。

  • PostgreSQLネイティブ同期: PostgreSQLに直接接続し、効率的なデータ同期を実現します。
  • TanStack DB連携: クライアントサイドデータベースコネクタであるTanStack DBと連携することで、ブラウザ内でライブなリアクティブコレクションを簡単に構築できます。これにより、データの更新をリアルタイムで購読し、常に最新の状態を保つことが可能です。
  • 楽観的更新フロー: ユーザー体験を向上させるための「楽観的更新(Optimistic Update)」フローが非常に優れており、ネットワーク遅延を感じさせないスムーズなUIを提供します。

これらの機能により、開発者は複雑なデータ同期ロジックを自前で構築することなく、リアルタイムアプリケーションを効率的に開発できるようになります。

Durable Streamsとは?誕生の背景と機能

Durable Streamsは、Electric SQLの同期エンジンから派生した新しい技術であり、2023年12月初旬に発表されました。発表から約1ヶ月半(動画公開時点)という新しいプロダクトですが、その基盤はElectric SQLの同期エンジンを支える信頼性の高いデータ転送メカニズムから生まれています。

同期エンジンの基盤からの発展

Electric SQLの同期エンジンは、クライアントへの信頼性の高いデータ転送方法を必要としていました。データ更新が失われるようでは、同期エンジンとして機能しないため、開発チームはデータ転送の設計と改善に多大な時間を費やしました。この徹底した設計と開発の成果が、Durable Streamsとして独立したプロダクトになった背景です。

AI時代におけるデータ一貫性の課題

現在のAIアプリケーション、例えばChatGPTのようなクラウドAIサービスでさえ、データの一貫性に関する問題や不具合が頻繁に発生しています。チャット履歴の途中でデータが失われたり、表示が崩れたりするといった現象は、同期が十分に考慮されていないことに起因しているとKyle氏は指摘します。Durable Streamsは、このようなAI時代におけるデータ一貫性の課題を根本から解決することを目指しています。

Durable Streamsの役割と技術的特徴

Durable Streamsは、Electric SQLの同期レイヤーの基礎となるものです。主な特徴は以下の通りです。

  • バイナリトランスポート: データ転送の信頼性の高い基盤として機能するバイナリプロトコルを採用しています。
  • JSONモード: 生のトランスポートレベルの上に、JSON形式の更新を効率的に送信するための「JSONモード」を提供します。
  • PostgreSQLとの連携: PostgreSQL固有の情報と連携することで、Electric SQLの同期エンジンが動作する上での必要な情報を効率的に扱います。

Durable Streamsは、単なるデータ転送ツールではなく、データの信頼性と一貫性を保証するための強力な基盤として設計されています。これにより、開発者はデータ同期に関する複雑な問題を気にすることなく、アプリケーションのビジネスロジックに集中できるようになります。

Durable Streamsが切り拓く未来:多様なデータソースとの連携

Durable Streamsは、現在のPostgreSQL同期の基盤に留まらず、将来的にさまざまなデータソースに対応するための基礎となります。

PostgreSQL以外のデータソースへの展開

Electric SQLの最終的な目標は、PostgreSQLだけでなく、あらゆるデータソースからクライアントにデータをリアルタイムで同期できるようにすることです。具体的には、Redis、MySQL、MongoDBなど、様々なデータベースやデータストアとの連携が構想されています。これにより、開発者は特定のデータベースに縛られることなく、必要に応じて最適なデータソースを選択し、Durable Streamsを介して信頼性の高いリアルタイム同期を実現できるようになります。

カスタムデータ連携とAIトークンストリーミングの課題解決

多くの開発者から、カスタムのデータソースや既存のシステムからクライアントにデータを同期させたいという要望が寄せられていました。これまでは「データをPostgreSQLに書き込んでください」と案内していましたが、特にAIトークンのストリーミングのような特定のユースケースでは、このアプローチに課題がありました。

  • AIトークンストリーミングの現状: Server-Sent Events (SSE)などを使ったAIトークンのストリーミングは、その性質上、壊れやすく、信頼性に欠ける場合があります。
  • PostgreSQLへの書き込みの問題点: AIトークンのような大量の生のバイトデータをストリーミングするためにPostgreSQLを使うことは、技術的には可能ですが、スケーラビリティや効率性の面で課題があります。PostgreSQLは非常に高速ですが、生のバイトデータを移動させることに関して特に効率的というわけではなく、大規模な運用では多くのPostgreSQLインスタンスが必要となり、非効率的になる可能性があります。

Durable Streamsは、このような課題を解決するために、どんなデータパイプでも接続できる軽量かつ高効率な方法を提供します。これにより、AIトークンのストリーミングのようなユースケースでも、信頼性が高くスケーラブルなデータ転送が可能になります。

Electric Cloudでの提供とそのメリット

Durable Streamsは、Electric Cloud上で完全にクラウドネイティブな実装として提供される予定です(動画収録時点で近日ローンチ)。これにより、以下のメリットが提供されます。

  • 無制限のスケーラビリティ: 無制限のストリーム、サイズ、そしてあらゆる規模に対応可能です。
  • 広範なデータ転送: 開発者は、必要なだけ多くのデータを、必要なだけ多くのストリームで、必要なだけ多くのユーザーにパイプできます。
  • プラットフォームとCDNによるバックアップ: Electric SQLのプラットフォームとCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)によってバックアップされており、高速で信頼性の高いデータ転送が保証されます。

これにより、開発者はインフラの管理に頭を悩ませることなく、大規模なリアルタイムアプリケーションを安心して構築できるようになります。

なぜ今Durable Streamsが重要なのか:AIチャット体験の進化

データストリームの「耐久性(Durable)」は、AIの進化によってその重要性が劇的に増しています。

従来のデータ同期手法との比較

およそ1年前までは、AIチャットのストリームが永続的であることにはそれほど関心が払われていませんでした。チャットセッション中に更新が失われたとしても、ページをリフレッシュすれば済む話だと考えられていたからです。しかし、今日では状況が大きく変わっています。ユーザーは、チャットを中断してコーヒーを飲みに行き、戻ってきても、そのセッションで起こった全てのことがそのままの状態であることを期待します。

このような要件に対し、多くの開発者は当初、RedisのようなインメモリデータベースやPostgreSQLに状態を保存することで対応しようとしました。しかし、これらのアプローチには課題があります。

  • ストリーム中の更新喪失: ストリームが発生している最中に接続が途切れた場合、データベースに書き込まれるまで更新が表示されない、または失われる可能性があります。
  • 手作業での実装の複雑さ: データ同期のロジックを手作業で構築することは、非常に複雑でエラーが発生しやすいうえ、広範なテストが必要です。

信頼性の高い仕様とテスト体制

Durable Streamsは、単なる実装の一つではなく、**厳密に定義された仕様(spec)**に基づいています。この仕様は、長年の経験と徹底した設計によって確立されており、その信頼性は非常に高いとされています。

  • 多様なクライアントライブラリ: 現在、10種類の異なるプログラミング言語に対応したクライアントライブラリが提供されています。
  • サーバ適合性スイート: サーバ側で実行される約400のテストからなる適合性スイートがあり、仕様のあらゆる側面が網羅的にテストされています。これにより、オープンソースの実装やElectric Cloudの実装が全て同じ仕様に準拠していることが保証されます。
  • クライアント適合性テスト: クライアント側でも適合性テストが提供されており、PHPなどの任意の言語でクライアントを実装する場合でも、仕様に沿って正しく動作することが確認できます。

これにより、開発者はデータ同期のロジックを一から手作業で構築する代わりに、十分にテストされ、検証済みの基盤を利用できるため、開発の効率性と信頼性が大幅に向上します。Durable Streamsは、ストリーム中に発生する可能性のある更新の喪失といった問題をより堅牢に処理し、常に一貫したデータ体験をユーザーに提供します。

まとめ

本記事では、Electric SQLが提供する革新的なデータ同期基盤「Durable Streams」について、その技術的な背景からAI時代における重要性までを詳細に解説しました。

Durable Streamsは、Electric SQLのPostgreSQLネイティブ同期エンジンから派生し、AIアプリケーションで顕在化するデータ一貫性の課題を解決するために生まれました。軽量で効率的なバイナリトランスポートを基盤とし、JSONモードやPostgreSQL固有の連携を通じて、信頼性の高いデータ転送を実現します。

将来的には、PostgreSQLに留まらず、Redis、MySQL、MongoDBなど多様なデータソースとのリアルタイム同期を可能にし、AIトークンのストリーミングのようなカスタムユースケースにおいても、スケーラブルで堅牢なソリューションを提供することを目指しています。Electric Cloudでのクラウドネイティブな提供により、開発者はインフラの心配なく、大規模なリアルタイムアプリケーションを構築できるでしょう。

AI技術の進化とともに、ユーザーはよりシームレスで信頼性の高い体験を求めるようになっています。Durable Streamsは、その要求に応えるための重要な技術であり、データ同期の「新常識」を確立することで、開発者が次世代のアプリケーションを構築するための強力なツールとなるはずです。

参考動画

https://www.youtube.com/watch?v=Sz_C83qTeL4